卯の刻に目を覚ます。近所のパン屋にてサンドイッチを購い珈琲を淹れてこれを食す。隣の廃屋の屋根の上で放蕩猫が丸く寝ている。耳鼻科へ登院。吸入器を鼻腔にあてがいながら窓の外をぼんやりと眺め遣る。隣家に生い茂る木々の葉が陽光を反射しながら揺れておれり。処方された薬を受け取り検車区を迂回して自宅へ戻る。途中、壮年の男が検車区の壁に向かいてボールを放りそれをグローブで受け取りてまた放る。スクーターに跨りてわざわざ此処まで来たようであった。薫風鮮やかなり。洗濯機を回しながら浴室の掃除をす。久しぶりに布団を干す。長い間布団は干すものだという事すら思い出せないでいたようである。冬服をクリーニングに出し、珈琲豆を求め、酒を購いに出かける。その度毎に放蕩猫Sを見遣るがずっと寝たままである。夕餉にキャベツの浅漬け・冷や奴・蕎麦を食す。白雪を呑む。6970歩。