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陰のちに氷雨。ごちそうさんを観る。本日も蟄居し、他人の日記を読み漁りたり。川本三郎著「荷風と東京」の中に堀切橋のお化け煙突に関する頁ありしが、氏曰く、小津安二郎が「東京物語」の中で荒川放水路を映したのは、荷風の日記を読み影響を受けたからではないかとの由。実際に小津の残した日記の中に「断腸亭日乗」を連日読みふけり、読み終わった後に荒川放水路を歩いた記述の在るとも書かれておれり。余その映像を確認したく思い「東京物語」を借りて観たり。追い払われた熱海の堤防に腰掛けた老いし夫婦の後ろ姿儚し。これからの世、または子供らの生活の中に、自分達の居場所を明らかに失いつつある事を諦念の心を以て迎えようとしている人を映し出しておれり。